「スーパー女子高生」の5つの要素
最終章となる第五章では、この本で紹介してきた女子高生オリンピック選手のような「スーパー女子高生」に共通する要素をあぶり出しています。
前回の第四章の紹介文では、最後のほうで「運」を挙げましたが、これはとても重要な要素。というのも、オリンピックは4年に1回。
今年のオリンピックは延期になったことで、東京オリンピックで女子高生として出場するのはさらに難しくなった、とも言えるし、逆に、今年中学3年生であれば、来年のチャンスが出てくるとも言えます。今年高校2年生で実力不足だったのに、これから急速に力を伸ばして、来年は代表権をつかみとることだってありえます。この世代の特徴のひとつは、競泳の大塚美優選手のように、1年で一気に力をつけるところ。なので、来年の今頃の代表争いもまた楽しみになった、とも言えるでしょう。
ちなみに、今や女子体操界を引っ張る存在となった寺本明日香選手、アキレス腱断裂という大怪我で出場が危ぶまれていましたが、来年に延期になったことは不幸中の幸いと言えるのかも。これも一種の「運」なのでしょうか。
本文では高校を卒業したその年にオリンピック代表になった7名の選手を挙げていますが、彼女たちはそれこそ生まれた瞬間から「女子高生」としてオリンピックに出場することはかなわないタイミンだった、ということになるのですね。
これは良し悪しではなく、タイミングの話でしかありません。
生まれたタイミングというだけでなく、より内面的な部分に近い要素として第五章で取り上げたのは、以下の5つの要素です。
1.明確な目標を持つ
2.自分はできると信じる
3.目標を達成するために必要な行動を取る
4.ポジティブシンキング
5.さらに上を目指す意志がある
それぞれ簡単に紹介しようかな、と思いましたが、本文をお読みいただきたいので要素だけを挙げるにとどめます。
こういった要素、大人にとって、ビジネスの中ではよく言われることかと思います。
かつ、よく言われているけれどもなかなか実践しきれないことばかりでもあるのではないでしょうか?
女子高生、10代半ばで5つの要素を実践していたことに驚きを持ちますが、なぜ、これらが実践できたのか?の秘訣も本文では紹介しています。この秘訣は、ある意味では、逆に、女子高生、10代半ばであった、という環境にも大きな影響があることがわかります。
このことから大人が学べるのは、いかに自分のパフォーマンスを発揮できるような「環境」を整えることが重要なのか?ということでもあると言えるでしょう。
第五章の後半では、冬季オリンピックの女子高生オリンピック選手についても触れています。
荒川静香選手、上村愛子選手など、女子高生でオリンピックに出場した選手の当時とその後を振り返ったり、女子中学生として出場することが期待されていた浅田真央選手がトリノ五輪に出られなかった背景なども解説していますので、「あー、そういえばそうだったよねー」など、思い出していただくのも楽しいかと。オリンピックを体験する前の高梨沙羅選手のことにも触れていますよ!
始めること、終わらせること。
「おわりに」では、僕(須賀)から見た、この本の企画から脱稿までの制作と心の流れが書かれています。
正直な話、「本」を作るのって、想像をはるかに超えるエネルギーが必要でした。この本から8年たったいまでも、新しい本を書きたい、という意欲は生まれません。笑
ですが、この体験で重要だと思えるのは、ひとつの思いつきから、本を作るというプロジェクトをスタートさせ、きちんと〆切までに終わらせた、ということ。
この紹介文を読んでくださっている方の中には、「いつか本を書いてみたい」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。構想も頭の中にあるかもしれない。でしたら、ぜひ、書き始めてみてほしいと思います。そして、いくら時間がかかっても、書き終えるまで粘ってみてほしいのです。
「あとがき」の中で触れましたが、本を作るという体験を通じて、僕は取材をさせていただいた女子高生オリンピック選手からとても大きな刺激と価値をいただいたと思っています。彼女たちの持つ5つの要素をちょっとは体感できたような気がするのですね。
本を作る、というテーマでなくてもいいと思います。やってみたいなぁと思っていること、考えていること、だけど、まだ手をつけていないなにか。ぜひ、やってみてください。得られるものは大きいはずです。
女子高生がオリンピックに出る、という大きな夢を叶えることができるのです。
あなたの夢も、叶えられない理由はないと思いませんか?
門脇正法・須賀和
プロフィール
須賀和(すが・やまと)。1980年生まれ。埼玉県出身。埼玉県立浦和高校卒。門脇正法氏からスポーツの取材・ライティングなどの指導を受け、2004年にスポーツライターとしてデビュー。スポーツアスリートを中心に、インタビューをもとにしたドキュメンタリーを手がけるように。その後、コピーライティングなど、ライティングスキルの幅を広げ、現在はWEB媒体、紙媒体に限らず広告関係全般の運用、アドバイザーなども務める。
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