オリンピック「連続出場」までの軌跡とは?
「第二章」ではロンドン大会に出場した8名の女子高生オリンピック選手(大塚美優選手・渡部香生子選手・内田美希選手・寺本明日香選手・深瀬菜月選手・三浦莉奈選手・畠山愛理選手・土井杏南選手)が、出場を決めるまでをメインにご紹介しました。
特に大塚美優、寺本明日香、土井杏南の3選手についてはインタビューも交えながら詳しく追ったことで、出場決定までの様子がより鮮明に浮かび上がったのではないでしょうか?
今回の「第三章」では、過去のオリンピックに女子高生のときに出場し、今回も連続出場を決めた選手にフォーカスを当てています。
冒頭で紹介したのは、ロンドン大会で「4大会連続」出場を決めた、日本女子サッカー界を長く牽引し、その後、W杯優勝の立役者でもある澤穂希さん。女子高生で出場したアトランタ大会からの軌跡をざっとお届けしています。
つづいては、「3大会連続」出場となる3選手について。
バレーボールの木村沙織さん、ホッケーの中川未由希さん、卓球の福原愛さんが該当しましたが、3選手についても、それぞれの過去2大会の活躍ぶりをお伝えしました。
そして、「2大会連続」となった選手たちについても、前回大会の様子とロンドン大会出場までを振り返ります。
「連続出場」でもたらされるもの
前半部分で挙げた選手の中でも、特に注目したのは、バレーボールの木村沙織さん、競泳の星奈津美さん、ホッケーの中川未由希さんの3名。
ピックアップした理由は、門脇さんが過去にインタビューしたことがあった、というもの(笑)。
ま、それだけに一人ひとりの個性が垣間見られるまとめになっています。
Ⅰ 木村沙織さん(バレーボール・火の鳥NIPPON)
アテネ大会のときに女子高生として初出場。女子バレーボール界で初の女子高生オリンピック選手となりました。ところが、本人はこのときの体験を苦い思い出として記憶しているそう。しかし、その経験もバネにし、その後は女子バレーボール界を支える存在へと成長していきます。その途中経過が描かれています。
Ⅱ 星奈津美さん(競泳・バタフライ・トビウオジャパン)
北京大会が初出場。初出場を決めるまでのタイムの驚異的な伸びは、この年代の女子選手の特徴のひとつかもしれません。このロンドン大会では銅メダルを獲得、次のリオデジャネイロ大会でも連続の銅メダルを獲得することになります。ロンドン出場を決めた日本選手権で叩き出した日本記録は、未だ破られていません。
Ⅲ 中川未由希さん(ホッケー・さくらジャパン)
彼女もアテネ大会が初出場で、このロンドン大会が3大会目で、次のリオデジャネイロ大会ではキャプテンをつとめ、女子ホッケー界を代表する存在になっていました。中川さんは、アテネで初めてオリンピックのフィールドに立った瞬間のことを覚えていないと言います。それだけの緊張感だった、と。しかし、それから8年後のロンドンでは主力としてチームに欠かせない選手に成長していました。
この3名に限らず、女子高生でオリンピックを経験して連続出場する選手に共通すること。まずひとつは、女子高生のときには「ほとんどなにもできない」といった感覚を味あわされているところ。しかし、この大舞台での経験を自分のものとして、技術を磨き、メンタルを作り上げ、後輩たちを引っ張り、それぞれの競技を代表する選手へと成長を遂げていくわけです。
そんな成長物語の一端を、お楽しみください。
門脇正法・須賀和
プロフィール
須賀和(すが・やまと)。1980年生まれ。埼玉県出身。埼玉県立浦和高校卒。門脇正法氏からスポーツの取材・ライティングなどの指導を受け、2004年にスポーツライターとしてデビュー。スポーツアスリートを中心に、インタビューをもとにしたドキュメンタリーを手がけるように。その後、コピーライティングなど、ライティングスキルの幅を広げ、現在はWEB媒体、紙媒体に限らず広告関係全般の運用、アドバイザーなども務める。
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